平凡リーマンはワンコ系年下彼氏に溺愛されています (Page 2)

「浩太さん、どうかしましたか?」

こてんと首を傾げた翼に、思考に耽っていた浩太ははっとする。

「とにかく今日はしないぞ」

「そんなぁ」

「そんなかわいい顔してもダメだ」

「どうしても、ダメですか…?」

へにょんと垂れる犬耳の幻覚が見える。

浩太はこの男のファンでこの顔に弱い上に、生粋の犬派だった。

「う…」

「ほんの少し、先っぽだけでいいんです」

そう言いながら、この男が先っぽだけで満足してくれたところを浩太は見たことがなかった。

しかし、潤みを増す瞳に、へにょんと垂れる犬耳の幻覚に罪悪感と甘い気持ちが滲んでしまう。

こんな愛らしいお誘いを断れるのなんて悪魔だけではないだろうか、とか。

今回こそは少しだけで満足してくれるかもしれない、とか。

「浩太さんを充電しないと俺、明日のお仕事頑張れないです」

翼のファンである浩太にとって、それは由々しき発言であり、とどめの一言でもあった。

浩太はもう首を縦に動かすしかなかった。

「少しだけだからな」

途端、翼はぱあっと表情を煌めかせ、にぱっと笑った。

「はい、少しだけです」

*****

「あ…あん、っ…また、いく、いっちゃう」

あの元気な「はい少しだけです」は浩太の幻聴だったのだろうか。

翼に手を引かれ寝室でセックスをはじめてから、浩太はもう三回も果てていた。

それでもまだ己の内側を貪るように繰り返される翼の律動に、浩太はまた自身がどうしようもなく昂り溢れそうになるのを感じていた。

「少しって、言ったのに…!」

「俺にとってはまだ少しですよ」

浩太に覆いかぶさり腰をがっしり掴んだ男が弾んだ声でとんでもないことを宣った。

しかし、何度も果てさせられた浩太には抵抗する気力などなく、されるままに揺さぶられてしまう。

「ああっ…!」

ひときわ激しく奥を穿たれ、浩太の視界は白く弾け、下肢からはまた熱いものが溢れ出た。

後ろから聞こえた詰まった声と腹の中に薄膜越しに溢れた熱に、翼も達したらしかった。

「つばさ、もう」

「まだ足りないです。もっと浩太さんがほしい」

甘く囁くなり、翼は浩太の唇をぴとりと塞いだ。

翼は浩太の唇の隙間から舌を差し込むと、その内側を丹念に舐った。

ただでさえ激しい行為に呼吸がままならないのに、さらに苦しくなってしまう。

どうしようもなく気持ちよくなってしまう。

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