ハッピーデイズ (Page 2)

ソファーの前に座りこんで、部屋をじっと見まわす。
見る限り女がいそうな感じもないし、飲み物を出してくるあたり、ただ慌てただけだったんだろうか。

そんなことを思いながら小さく息を吐くと、ソファーの下に何かが隠れているのが見えた。
なんだ、と思って手を伸ばすと、そこにあったのはいわゆる、ローターってやつ。

「おまたせー、コーヒーでいいよね」

「…リョウタ、お前」

コーヒーをミニテーブルに置いたリョウタが、こちらに振り向く。
俺の手に持っていたソレに気づいたリョウタの顔が、一気に赤く染まった。

「や、違う！！違くって！」

「…お前さ、まだ女遊び懲りてないわけ？」

「違う！女の子となんて会ってない！俺が…」

「…リョウタが、なに？」

しまった、という顔をしたリョウタ。
ここまで来たら、最後まで聞かないわけにいかない。
俺たちに迷惑かけたくせに、平然とこんなものを使って遊んでるなんて、許せるわけない。

「…いや…その」

「お前とずっと一緒に頑張りたいって思ってた俺の気持ち、踏みにじる気かよ」

「ちがう、違うって！」

そう叫んだリョウタの手が、俺のほうに伸びる。
俺よりも少し小さいリョウタが、胸あたりに飛び込んできて、思わず抱きとめた。

「誤解だから…全部…あの記事のことも、コレも…」

「誤解…？」

リョウタの耳のふちまで、真っ赤に染まっていくのが見える。
その表情ははっきりとは見えないけれど、言いづらい何かがあることはなんとなくわかった。

「…嫌いにならないって、約束しろよ」

「嫌いになるくらいだったら、家まで来ないだろ」

そう言うと、覚悟を決めたようにせき払いをするリョウタ。
顔を上げて、二人目が合う。不安げな表情が見えて、安心させるようにその背中を撫でた。

「…あの、コレ使ってんの…俺なんだ」

「…はぁ？」

「だから…俺が、一人で…使ってて…」

思ってもみない返答に、声が出ない。
だけど、黙っているわけにいかない。目の前のリョウタは、恥ずかしさで泣きそうな顔をしている。

「…使ってるって…どうやって…」

「…え？」

「どうやって、使ってんのか見せてよ」

自分でも、何を言っているのかわからなかった。
だけど、どこか胸の奥で、そんなリョウタの姿を見たいと思ってしまった。

離れようとするリョウタの腕をもう一度引き寄せて、その耳元に唇を寄せる。

「早く、見せてよ」

腕の中のリョウタが、小さく頷くのが見えた。

—

「…あんまり…見んなって…ぇ」

白いシーツに包まるようにしてベッドに横たわる姿。
自分よりも少し肉つきのいい太ももの間で、機械的な音が響いている。

「…いつもこんなんやってんの？」

「たまに…っ、したくなったとき…」

慣れた手つきでローターの先端を使って、蕾の周りをなぞるように刺激していく。
まだ挿入すらしていないのに、リョウタのモノは確実に、少しずつ質量を増していった。

指先を口に含んで、唾液をたっぷりとまとわせる。
その指先で蕾の入口を少しずつほぐしていく、その姿。

今まで普通に、友達として、メンバーとして、仲間として過ごしてきたのが嘘みたいにいやらしい。

「…すげー、めっちゃヒクついてる」

「うるさ…い、あぁ！」

まるで生き物のようにヒクつくその入り口に、誘われるようにしてローターがじわじわと侵入していく。
リョウタは恥ずかしさなんてとっくに忘れて、もうすっかりとろけた表情を浮かべている。