僕のはじめては全部あなたに (Page 4)
「やっ、あっ、はあ…、やだ…」
正人さんの昂ぶりは僕の中に一気に入ってこなかった。
先だけを含ませられたそこで、ゆるゆると動く。まるでおあずけを食らっているような苦しさ。さっきみたいに僕の中に入っていいのに。
「悠はこれが嫌なんだ?」
正人さんの体が離れる気配に、僕は正人さんの手を掴んだ。正人さんの指は濡れていて、この指が僕の中にいたんだと思うと気持ちが抑えられなかった。
「正人さん、好き。だか、……ら、して」
気が付いたら泣いていた。
「…おね、が、…」
涙が止まらなくて、お願いと最後まで言えない。
目の縁にそっと口づけられた。
両方の頬を大きな手のひらで挟まれて、目をのぞき込まれる。正人さんの明るい色の瞳をじっと見つめる。
頭はまだふらふらするけれど、酔いは醒めていた。
「ち…ちゃんと、して。最後、ま、で…、し、て…」
しゃくりあげながら言うと、正人さんが、ふっと笑った。息が熱い。
「悠はどこでこんなことを覚えたんだろうな…」
どこでだろう…もしかしたら、正人さんかもしれないよ…。
そう答える代わりに、正人さんにキスをした。
それが合図のように、正人さんが僕になだれ込んできた。
奥まで一気に貫かれて、体がびくびくと動いてしまう。
正人さんが腰を動かす音、動くたびに与えられる熱さと直に伝わる正人さんの硬さに僕自身があおられる。
上向いたそれを握られ、滑らせるように手を動かされた。
「っ…、ま、…さと、…さ、ん…好き、んっ…」
漏れる声を抑えられない。
俺も、と正人さんが呟く。
「俺も、悠が好きだよ。ずっと待ってた…」
…ずっと待ってた、って。なんだろう…?
訊きたかったけど、正人さんから与えられる快感に、もう言葉にはならなかった。
20歳になって初めてのお酒も、初めてのエッチも。
僕は大好きな正人さんにあげてしまった。
初めての両思いも。
Fin.
最近のコメント