温泉よりも熱い (Page 2)
ジャバッ。
「待ってください、行かないでくださいよ、認めるってことになっちゃいますよ」
「無言で立ち去るのも否定の表れだろ。離せ、こら、掴むんじゃない、小学生か、きみは」
「野坂さん、腰ほそッ」
高田の濡れた黒髪を掴んで押しやるが、彼はびくりとも動かず、むしろ俺の腰に指を食い込ませてくる勢いで引き止めた。
「安心してください、俺もゲイなんで偏見とかないですよ。むしろ興味の方があります」
「上司に対しておかしな興味を向けるんじゃない」
「つれないですね。実は期待してたりしません? 俺、口でするの得意だし上手いって評判ですよ」
「お前の評判はどうでもいい。バカ、勝手に触るな……ッ」
「野坂さん。騒いだら、周りの人にばれひゃいまふよ」
はむっ、とまるでホットドッグでも食べるかのように、俺の下半身のモノを口に含んだ。
熱い。膝下の湯よりも、煙る湯気よりも、熱い口の中。
「んむ。ふはっ、ふにゃふにゃで新鮮。でもちょっと勃起しかけてますね」
そう言うと再び咥え、カリのまわりをちろちろ舌で擦り、両手で根元を撫でた。
「お前が勝手にやり始めたんだからな……」
「そうでふよ。らから、んッ、おれの責任です。ふう。気持ちよくするので、お咎(とが)めはなしでお願いしますね」
じゅっ、と水場のなかでも特異の音が反響した。
エラの裏側を舐めまわされると、いやでも血液が集中した。そして情けないほどにほぼ立ち上がった性器に、高田はさらにむしゃぶりつき、甘い吐息を出しながらしゃぶりたてた。
俺はもはや咎める気も失せた。
竿をレロレロと舐め上げながら、俺の表情を横目で見上げてくる様は、あきらかに素人のワザじゃない。
一体コイツはどんな人生を歩んできたんだか。
脳裏に疑問と今後の不安がよぎるが、それを打ち消すくらいに刺激がじわじわと広がっていった。
ぱんぱんになった玉袋を撫でさする指が、さらに根元に移った。
「おい、俺は後ろは使わせないぞ」
じゅぷ、ちゅっ。
「ぷはっ。ダメでしたか。じゃあ、ココならいいですよね」
そう言うと玉袋と出口の間の一点をツツと撫でた。ぞわぁっと脳に電流が走った気がした。
「人が来たら止めさせちゃうでしょうし、ちょっと過激にいきますよ」
高田はそう言うと、ぱくっと亀頭を咥え込み、ヌヌヌと喉の奥にまで俺の性器を侵入させた。
舌が絡みついてくる。右手がその絡みを助長させるように男根を包み、頭の上下と一緒にひねりながら動かした。
左手はさっきの電流が流れるところを時折ぐっと押してきたり、なでてきたりして、コイツが自分で言っていた上手さというのを実感した。
「ああ……それ、いい。もっと。そろそろイけそう」
そう言うと高田の唇の両端に力が入り、より刺激が強まった。
そしてじゅっぷじゅっぷと、わざとらしいほどに音をたてて俺の精液を搾り取ろうとした。
「う、イク、から、離せ」
しかし高田は言うことを聞かず、より吸う力を強めた。
「お前……っ」
高田の額に手をあてるも、間に合わずそのまま口の中に出してしまった。
ごくん。
「……飲んだのか」
「んっ……。ふう。そんな嫌な顔しないでくださいよ。気持ちよかったでしょう」
「お前ってやつは……」
「なんなら、部屋で続きでもします?」
高田はむしろ「したい」といっているような表情でそう言った。
俺はその誘惑を断ることはできなかった。
Fin.
最近のコメント