淫舌な成功報酬
ヤクザの顧問弁護士をしている井出の元に成功報酬が届く。それは約束の現金ではなく美しい青年・ニコだった。用心深い井出はニコを追い返そうとする。しかし、その美貌と健気な姿に井出の理性はもろくも崩れ…。
「これだから瀧川組の仕事はイヤなんだよ…」
届いたばかりの成功報酬を目の前に、井出はため息をもらした。
机に腰掛け、タバコに火をつける。
そして、行儀よくソファに座っている青年に目をやった。
「どうしたもんかねぇ…」
ヤクザの顧問弁護士をしていると、常識では考えられないことがよく起こる。
しかし長年この仕事をしている井出でも、報酬に美青年をもらったのは初めてだった。
「君、どこの店の男娼?それとも誰かのイロ?」
井出の声に青年がピクッと肩を震わせた。
青白く華奢な生身に、井出のシャツを羽織っている。
下着も貸してやりたかったが、あいにく事務所には替えがなかった。
「アザひとつない綺麗な体してんだから、無理矢理連れてこられたわけじゃないでしょ?」
青年は黙ったままガラス玉のような瞳を井出に向けた。
深海のような青い瞳、色素の薄いまぶた。髪と同じ黄金色のまつ毛。
今回の弁護料を上乗せしても、お釣りがきそうなほどの上玉だ。
それだけに用心深い井出は頭を抱える。
いくら美味しそうな報酬も送り主がヤクザでは、おいそれと受け取るわけにはいかなかった。
「日本語わかる?」
井出の問いかけに、青年は自信なさげにコクリとうなずいた。
「まいったな。とりあえず、引き取りに来てもらうか…」
タバコを灰皿に押しつけると、井出は電話に手を伸ばした。
再びため息をつきながら、瀧川組の番号を探す。
すると、青年がゆらりと立ち上がった。
「なんだ?便所か?」
「…させて」
井出のシャツが床に落ち、艶かしい体が露わになる。
「シゴト…させて…」
青年はそうつぶやくと、井出の腰にすがりついた。
「お、おいっ」
白く細い指が器用にベルトを外す。
慣れた手つきで下着からペニスを取り出すと、青年は上目遣いで井出を見た。
「…シゴトしないと、おこられる」
青い瞳にうっすらと涙が浮かんでいる。
「怒られるって、瀧川組の奴らにか?」
「シゴトしないと…ひどいことされる」
青年は目を伏せると、何か恐ろしいことでも思い出したように形のいい唇を震わせた。
「しょうがねぇな…」
井出はしばらくその様子を見下ろしていたが、堪りかねて口を開いた。
「安心しろ、すぐに帰したりしねぇから」
「ほんと?ありがとう…!」
青年の顔がぱぁっと明るくなる。
井出の腰に抱きつくと、嬉しそうに体を揺らした。
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