不安症な恋人のえっちな受け入れ方
サラリーマンの圭太(けいた)の恋人・涼輔(りょうすけ)は、かっこいいのに常におびえている不安症だった。涼輔が安心できるのは、圭太とセックスをしているときだけ。圭太は自分にだけ安心した顔を見せてくれる年下の恋人が可愛くて、今日も涼輔のすがるようなセックスをその体に受け入れるのだった。
「ただいま…て、うわっ!」
ネクタイを緩めながら玄関に足を踏み入れると、背の高い年下の恋人がぶつかるように抱きついてきて、俺は半歩あとずさった。
ぎゅう、と、一回り大きな体が俺を抱き込んでくる。
その腕の強さに小さく息をついて、よしよしと頭を撫でてやると、彼はスンと首元で息を吸って「圭太さん…」と消えそうな声で俺の名前を呼んだ。
「寂しかったか?ごめんな」
「うん、寂しかった。でも、我慢したよ。おかえりなさい、圭太さん」
「ただいま、涼輔」
…俺の年下の恋人は、不安症だ。
*****
用意されていた夕食を食べ終えて皿洗いをしていると、後ろからピタリと涼輔がくっついてきた。
動きにくいけれど作業をする手は止めずに、背中に彼の高めの体温を感じながら俺は言う。
「ちょっと待ってろよ。片付け終わったら、一緒に風呂入ろうな」
「うん…」
「いい子」
涼輔のご飯は今日もおいしかった。
この子は、背が高くて顔もよくて、料理がうまくて頭もいいのに、どうしてか、世の中に不安ばかりを抱えて生きている。
はじめて会ったときは、まるでいじめられ続けておびえた子犬のようだった。
そのボロボロな姿が見捨てられなくて、俺は思わず拾って帰ってきてしまったのだ。
俺が大学生の時の話だ。
そこからずっと一緒に暮らしているけれど、彼が生きていることに不安を感じないのは、どうやら俺とセックスをしているときだけのようだった。
「仕事の調子はどうだ?」
涼輔は在宅で仕事をしている。
蛇口を締めて手を拭きながら、あやすようにそう声を掛けると、彼は俺の首筋に首をうずめたまま、弱々しく言った。
「ちゃんとできたよ。褒められた」
「すごいじゃん。えらいな。…よし、できた。風呂入るか」
「うん」
そう言って、可愛い俺の涼輔は、嬉しそうに頬を上げた。
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