それは快楽の色彩 (Page 3)
斗真君は僕の手を取ると、熱っぽく話し出した。
「ぜひ、樹君を俺のSNSで紹介したい。君の素晴らしさを、皆に知ってもらいたいんだ。そのためにも、樹君にモデルになってもらって、真剣に君の絵を描いてみたい。…どうかな?」
僕が「特別な存在」になれる?
それは抗えない誘いだった。
「わかった。斗真君のモデルになるよ」
僕はしっかりと頷いた。
*****
斗真君の部屋で、僕は上半身裸になっていた。
「今までにない樹君の絵を描いてみたい」と言われたからだ。
知り合ったばかりの相手に素肌を晒すのは、正直恥ずかしかった。
「本当に、僕の裸を描きたいの…?こんな貧相な身体だけど」
斗真君は目を細めて、僕の上半身に視線を巡らす。
「美しい身体じゃないか。ほら、下も脱いで」
「…うん」
言われるままに、僕は履いていたデニムを下着ごと下ろした。
全裸になった僕をベッドに横たえさせてから、斗真君はスケッチブックに鉛筆を走らせた。
僕を見る斗真君の目はぎらぎらしていて、その舐めるような視線に全身がゾクゾクした。
局部をじっと見つめられて、息が詰まりそうになる。
けれど、僕は逃げなかった。
もうすぐで、僕は有名になれる。
そう思うと、自分が物語の主人公になったようで、気分が高揚した。
「樹君」
ふいに、斗真君が僕の名前を呼んだ。
おもむろに立ち上がると、僕の元にやって来る。
「斗真君?」
「今描いてる絵には、色を塗るつもりなんだ。質感の参考にしたいから、肌を触らせてもらえないかな」
「えっ…」
僕の返事を待たずに、斗真君が僕にのしかかってくる。
「やっ、何を…」
斗真君は息を荒くして、両手で僕の上半身を撫でた。
「想像通り、滑らかだ…。綺麗だよ、樹君」
その手つきはねっとりといやらしくて、僕は怖くなって身をよじらせた。
「嫌だっ!やめて、斗真君!」
斗真君は手を止めると、潤んだ瞳で僕の顔を覗き込んだ。
「樹君、俺は君のすべてを知りたい」
「そんなこと言われても…ダメだよ…」
戸惑う僕の髪を、斗真君は優しく撫でた。
「怖がらないで。俺、実は君のことが好きなんだ」
突然の告白に、僕は目を見開いた。
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