狐は贄を溺愛する (Page 3)

「お前は我の贄なのだろう。なのに脱がされることを拒むとは」

この容姿にこの発言、この男は本当に、この社に祀られている狐神らしい。

「これほど麗しい見目をしているのだ、衣服の下もさぞ、魅力的なのだろう」

彼の指がまた蠢き、悠の白無垢が少しずつはだけていく。

「ま、待ってください、できれば服を脱がさないで食べていただきたいのですが」

「ふむ、お前は着たままするのが好きなのか?」

「好き、というか…えっと、その、衣服の下には自信がないというか、みすぼらしいというか、狐神様の眼前にお出しできるものではないというか…」

「それを決めるのはお前ではないな」

そう言うと狐神は今度は一気に悠の衣服を剝ぎ取った。

顔だけは女性のように麗しくても、体は男のままである。

剝き出しになった平らな胸が、まだ他者に触れられたことがない無垢な男の象徴が、狐神の藍色の瞳に反射する。

悠は青ざめた。

男だとばれてしまった。

これでは生贄にしてもらえないどころか、ただ怒りのままに命を奪われてしまうかもしれない。

しかし、狐神はちっとも顔色を変えないまま、悠を見下ろし、胸の小さな突起をつまんだ。

「ひ」

「いい反応だな」

白く長い指先で悠の乳首をころころと転がしながら、狐神は悠のに顔を寄せてきた。

唇にやわらかく熱いものが触れる。

接吻されている、と気づいたときには、隙間から舌が差し込まれていた。

「ん、ん…っ」

滑った舌は自由にうごめき、悠の口腔を蹂躙する。

ようやく離れたときには悠の頭は酸欠でぼうっとしていた。

「なんで…」

「それは接吻したことに対してか、それとも――お前が男であることを受け入れていることか」

表情を強張らせる悠に、狐神が妖しく微笑んだ。

「人里に歪んだ口承が広がっていることぐらい把握している。我は神なのだからな」

「我が好きなのは美しいものだ。そしてあの村で我が最も心身が美しいと思っていた者が訪れた。興奮するのも無理はあるまい」

言われていることが理解できず瞳をしばたたかせた悠に、狐神は再び口づけをした。

今度は触れるだけのものだった。

「お前、名前は?」

「ゆ、悠…」

「悠か。ふふ、ようやっと名が知れた。悠…」

狐神は悠の頬をそっと撫でてから、その手をゆっくりと下ろし、白く平らな悠の腹に触れた。

「それでは、骨の髄まで味わわせてもらうぞ、悠」

低く掠れた声に囁かれ、悠の心臓は歪な音を立てて跳ねた。

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